大きな力で 偉大なアクセシビリティが可能に

トレンド / リアリティ
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Gabrielle Pedro Fredrick
1月 5, 2022
私は、マーベル・コミックの大ファンです。全ての知識を網羅してるわけではないですが、クイズ大会があれば、決勝まで行けるのでないかと思っています。ともあれ、陽気なポップカルチャー・ファンなのです。今年は、マーベルのキャラクターとその映画の両方にとって、素晴らしい年となっています。

「ブラック・ウィドウ」は、女性の搾取や虐待といった深刻なテーマに触れながら、忠誠、信頼、そして選ばれた家族というフェミニスト的なストーリーを語っています。シャン・チーは、アジア人の特徴を上手く表現したアジア人初のスーパーヒーローを演じ、家族の期待や絆のもつれ、そして最終的には自分たちのルーツを受け入れ、思いやるという、非常に普遍的なストーリーを示してくれました。テレビのミニシリーズであった「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は、人種差別の深い部分に焦点を当て、世の中に黒人のキャプテン・アメリカを紹介し、差別に対する理解という教訓をもたらしました。「ワンダヴィジョン」は、メンタルヘルス、トラウマ、深い悲しみへの対処方法を導き、「ロキ」は、宿命と自らの運命の選択ということを通して実存的な苦悩を問いかけました。「エターナルズ」については、人物像に多様な人種を登場させたのみでなく、障害のある人の出演も表現した作品でした。

そして遂に、私の大好きなコミックのキャラクターが、ディズニープラスからソロデビューを果たしたので、とてもわくわくしています。そうです。紫色のコスチュームで弓矢を持つ最高のスーパーヒーロー、ホークアイ…ともう一人のホークアイが、ついに登場したのです。
ここでは簡単に説明するだけに留めます[1]ホークアイは、聴覚に障害を持つスーパーヒーローを(厳密に言うと[2])初めて描いた特筆すべき作品です。ホークアイは、決してMCU映画で初めて登場した障害を持つスーパーヒーローではありません。しかし、デアデビルとプロフェッサーXが一時的に活動を休止している今、少なくとも、現在4人に1人のアメリカ人が、障害を持ちながら生活していることを考えると、彼が現代のポップカルチャーの流れに単独で登場したことは、メディアや映像を通して障害について考える貴重な機会を与えています[3]。ちなみに、障害を持つ人は約6,100万人いるのです[4]

弊社のVisual GPS[5]から得られたデータによると、アメリカ人の92%は「障害者は健常者と同じように社会に貢献できる」と考えていました。また、94%が「障害者にも平等な機会が与えられるべき」と考えているにもかかわらず、障害者が受ける世間からの偏見は、実のところ増えているというのがわかりました。その理由としては、「人と違うから」「劣っていると思われているから」「みんなができることができないから」という順になっています。
テレビや映画以外では、クリエイティブなビジュアルは、障害を持つ人々を適切に表現できるものになっていません。ゲッティイメージズが行った調査によると、広く使われる画像で障害を持つ人を表しているのは2%未満です。また、障害者を示す視覚的な指標としては、車いすを使うのが圧倒的に多いというのが明らかになりました。障害を持つ人は、介護や支援、医療などの場面で描かれることがよくあります。しかし、自立している姿や日々の生活を普通に送っている姿はあまり表現されてません。障害の埋め合わせのために、オリンピックレベルのスピードや、その他高度に発達した能力を持つ必要はありません。障害と共存しながら、幸せな人生を歩んでいる姿が求められているのです。

私たちは、(超人的な能力や有名俳優の起用は別として)実際に障害のある人を表現する一方で、彼らにとって素材がアクセスしやすいものにするにはどうしたらよいか、というのも同時に考えるべきです。

例えば、TIME誌[6]の記事によると、マーベル・スタジオは「エターナルズ」のプレミアで、より特別にアクセシビリティを高めようとしました。しかし、他の劇場では聴覚障害者のためにアメリカ手話(ASL)通訳や常時字幕が表示されるオープンキャプションを確保することは、かなり困難であることが指摘されています。このため、音声解説やクローズドキャプション用メガネなど代替品を提供し、より大きな話題となりました。
小さなことですが、すべての人にアクセシビリティを確保するために、特に映像空間において私たちができる簡単なことをご紹介します[7]

  • テキスト以外の映像やイメージには、テキストの説明を入れる。ソーシャルメディアサイトの多くは、ビジュアルの説明をテキストで提供する、代替テキスト(alt‑text)を使用する。すべてのキャプションは可能な限り描写的に表現し、それを標準的な装備とする。[8][9]

  • 聴覚障害者向けの映像には、(説明された)オープンキャプションかクローズドキャプションを組み込む。

  • 逆に、視覚障害者のためには、音声解説を考慮する。

  • ビジュアルに文字を重ねる場合は、色のコントラストを強調して読みやすくする。
代替テキストの場合と同様に、ソーシャルメディアもさまざまアクセシビリティ機能や、多様な投稿にも対応できるよう明確な説明が必要です。すべてのコンテンツがアクセシブルであってこそ、すべての人を受け入れていると言えるのです。

さて、私はこのあたりで失礼して、 「ホークアイ」の続きでも見ようと思います。
参照:
[1] An example of the dynamic between Hawkeye and Hawkeye and why I love them [Matt Fraction & David Aja; Hawkeye: Marvel Comics]
[2] “Why Hawkeye Has Hearing Aids in His MCU Show”[ScreenRant]
[3] “Disability Representation Is Seriously Lacking In TV And Movies: Report [HuffPost]
[4]“Disability Impacts All of Us” [US Centers for Disease Control and Prevention]
[5] “Visual GPS|ゲッティイメージズ
[6]“Eternals Introduces Marvel’s First Deaf Superhero. But Accessibility Issues Still Plague Moviegoers”[TIME]
[7]“Making Social Media More Accessible to People with Disabilities[3PlayMedia]
[8] “Social Media Accessibility: Quick Tips for Improving Your Reach [Bureau of Internet Affairs]
[9]“Usability & Web Accessibility” [Yale University]
家の中の柔軟性