アジア太平洋地域のウェルネス関連テクノロジー

テクノロジーが急速に移りゆく現代では、私たちの住むデジタル環境によって、幸福の状態が変化しています。インターネットの進化を含め、テクノロジーの推移によって、私たちのコミュニケーション方法は、歴史上、言葉的にもビジュアル的にも変わってきました。この30年間、インターネットの成長にともなって、ビジュアル面や没入面の性質に拍車がかかり、テクノロジーをつうじて、人々がますます感情的に結びつくようになっています。こうしたあらゆる変化のなか、アジア太平洋地域で唯一変わっていないものがあります。それは、ゲッティイメージズの消費者調査「VisualGPS」でも明らかなように、心と体の健康に対するゆるぎない姿勢です。いまや、テクノロジーは二重の役割を果たすようになっており、心と体の両面で健やかな状態を育んでいるのです。本稿では、感情的な強さをはじめ、社会的な絆や心理的な平穏を形成して、総合的な意味での幸福をめざすテクノロジーの様子を探ります。そうしたテクノロジーの影響をビジュアルで表現するうえで、ブランドができることについても見ていきましょう。

ウェルネス関連テクノロジーの今
健康、フィットネス、栄養、容姿、睡眠、マインドフルネスに対する消費者の注力が増すなか、ウェルネス関連市場は活況を呈しています¹。VisualGPSでは、アジア太平洋地域の幅広い層において、テクノロジーによるウェルネス向上に熱心であることが明らかになりました。これは、テクノロジーによって可能となるウェルネス関連の多様な活動を見せるチャンスになります。

日常生活にテクノロジーをスムーズに取り入れて幸せを感じている様子のビジュアルは、とても共感を呼ぶでしょう。たとえば、以下のビジュアルギャラリーにあるように、血糖値を知らせるリアルな通知や、個人に合わせたダイエット情報を描くビジュアルのほか、ウェアラブル機器やアプリを瞑想に使う人のビジュアルであれば、ウェルネス向上でテクノロジーの果たす役割が強調されます。さらに、心のウェルネス（アジア文化圏では、過小評価されることが多い²）をサポートするテクノロジーを目立たせると、体の健康と一緒に心の健康も大切にする消費者に対して、共感を示すことになります。ユーザー補助テクノロジーを使う人のビジュアルを盛り込めば、良好な影響を与え期待できるものになるでしょう。

充足感を高める没入型テクノロジーを扱う 
ウェルネス、テクノロジー、ビジュアルトレンドの融合により、ARやVRを使った没入型のアートや体験が誕生しました³。ゲームとメタバースには、アジア太平洋地域だけでなく世界中でも大きな関心が集まっていることが、VisualGPSでも確認されています。こうしたテクノロジーは、現実逃避の魅力的な機会になるほか、創造性、楽しさ、ウェルネスを育むものにもなります。思いがけない没入型体験への欲求は、バーチャルとリアルの領域を曖昧にします。チームラボが手がけ、従来のアート施設の入館者数を上回っている東京のミュージアムは、その典型と言えるでしょう⁴。

バーチャルとリアルの世界をスムーズに行き来する様子を鮮明に描き出せるのが、ビジュアルです。たとえば、以下のビジュアルギャラリーにあるように、ARを駆使したフィットネスの躍動感あふれるクラスや、活き活きとしたバーチャル交流会のビジュアルを使えば、幸せな状態をはじめ、つながれることや自己表現といった概念の効果的な宣伝になり、テクノロジーによる変革の可能性が示されます。

急速に変化する世界は、ブランドや企業にとって、個人の健康とウェルネスを高めるテクノロジーの様子をビジュアルで示すチャンスです。健康とウェルネスの環境が変化するなか、共感、思いやり、包括性を伝えるビジュアルコンテンツなら、つながりを深めて好ましい影響を生み出せるでしょう。

[1] Feeling good: The future of the $1.5 trillion wellness market (Mckinsey)
[2] People in APAC Facing Immense Mental Health Struggles Due to Covid‑19 Pandemic and Stigma (The Drum)
[3] Inside the Effort to Expand Virtual Reality Treatments for Mental Health (Smithsonian Magazine)
[4] teamLab’s Tokyo Museum Has Become the World’s Most Popular Single‑Artist Destination, Surpassing the Van Gogh Museum (artnet)