日本のデジタルアジリティ

トレンド / テクノロジー
visualspace
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Yuri Endo
9月 1, 2020
世界中の人々がパンデミックによって孤立する中、日本では働き方、遊び方、集まり方、行事やイベントなどが急速に変化しています。テクノロジーは私たちの日常生活の中で無くてはならないものになっています。

地方自治体から市民に対し、在宅勤務推奨や電車などの公共交通機関で密を回避するように強い要請が発令されました。日本ではおそらく歴史初の要請です。パンデミックによって日本の伝統的な官僚制度の主要部分に存在する構造的な問題が露呈し、それが在宅勤務や在宅授業への適応を妨げています。

パンデミック発生当初、日本の労働者は、書類への押印や現金主義といった独自のビジネス文化により出社を求められていました。公共交通機関を利用し続けなければならず、新型コロナウイルスのような感染しやすい病気のリスクが危惧されていました。厳格な教育水準もまた、オンライン授業の導入を妨げました。世界中でオンライン学習が普及する中、適切なオンライン環境の整っていない日本の学生が取り残されることが懸念されました。電子署名、非接触型決済、オンライン学習への移行は足並みが揃わず、課題も残っていますが、パンデミックをきっかけに、アナログ社会からテクノロジーアジリティ(テクノロジーに機敏に対応できる社会)への移行がようやく進んでいます。それらの変化は、父親の家庭生活への参加機会の増加や、母親の在宅勤務、高齢者のテクノロジーへの適応など、ビジュアル表現にもよく表れています。

ゲッティイメージズにおいて、ここ数ヶ月間で最も大きく成長した用語には、当然ながら“covid19”、ソーシャルディスタンス、在宅勤務、オンライン学習、フードデリバリーなどが含まれます。これは学校、仕事、そして新しい生活への向き合い方が今後も続いていくことを示しています。ダウンロードされたビジュアル素材を分析することで、現状に即した新しいビジュアル表現のニーズを紐解くことができます。そこには、様々な人がテクノロジーを活用し、自宅で仕事や学習をしたり、ソーシャルディスタンスを守った新しい生活に適応している様子が描かれています。経済が再開し始めた現在、私たちは消費者行動が徐々にニューノーマルに向かっていることや、それが私たちの生活にどのような影響を与えているかを目の当たりにしています。オンライン会議関連のビジュアル素材に関しては、世界中で多くのお客様にダウンロードされており、約3000%の増加傾向にあります。Zoomでの会議からリモート飲み会、リモートウエディングまで、バーチャルイベントの多様化が進んでいます。
日本の消費者を対象とした調査では64%が、他にはない体験ができるとバーチャルリアリティに大きな期待を寄せ、新しいテクノロジーを受け入れています。
感染者数が再び増加している今年の夏は、多くの日本人が外出の自粛を余儀なくされており、東京の路上ではUber Eatsのドライバーが頻繁に見られます。日本の著名人やインフルエンサーはウイルスの拡散を抑制するために、自身のソーシャルメディアで外出を控えるよう呼びかけ始めました。人々は長引く自粛期間を充実させるために、バーチャルイベントやライブストリーミングに参加するようになりました。さらには、ますます多くのYouTuberやインフルエンサーが、バラエティ番組や学童向け教育番組といった従来の形式のメディア出演に取って代わるようになっています。

ゲッティイメージズでは、ペーパーレス、デジタルトランスフォーメーション、5G、遠隔医療、デートアプリ、YouTuber、eスポーツといった検索ワードが日本の利用者の間で増えています。在宅での勤務・授業、新たな娯楽といった、実際の生活にテクノロジーが与える影響が検索ワードに反映されています。これらの検索トレンドワードは、ネットワーク化されていく社会に適応していることを示しています。こうしたニーズの高まりに応えるため、ゲッティイメージズはクリエイターにパンデミックを受けて変化した日々の生活の中でテクノロジーが果たす役割を捉えた、より人間中心のビジュアルを撮影するよう働きかけています。もう一つ、社会の変化を見事に表しているのがギグエコノミーであり、インフルエンサーになることや、ビデオゲームやストリーミングコンテンツ配信に注目が集められています。


ゲッティイメージズによる最新のVisual GPS調査 では、日本の消費者は新しいテクノロジーを受け入れていることを示しており、64%がバーチャルリアリティへの他にはない様々な可能性に期待していると回答しました。AIを不安に感じると回答した消費者は、グローバルが43%だったのに対し、日本の消費者は29%と非常に少ない結果でした。日本の消費者の56%は、人工知能が将来自分の生活に与える影響に期待しています。テクノロジーは、より多様な社会的・経済的インクルージョンを生み、情報格差解消の手助けとなります。例えば、テクノロジーを活用した中小企業や現地市場の紹介、新しい投資方法、在宅医療など、インクルーシブな新しい可能性が実現するのです。

グローバルなテクノロジーのアイコンと言えば、パソコンやデジタルタブレット、スマートフォン、時計、スピーカーといったスマートデバイスなどが挙げられます。テクノロジー関連のビジュアルで重要なのは、テクノロジーによって実現できる人と人のつながりや、新しい技術への期待を表現することです。

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