Visual GPS:日本の消費者

トレンド / リアリティ
Maki Nakamura
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Kate Rourke
6月 16, 2020
最近日本で発表したVisual GPSの調査では、今日の日本の消費者にとって何が重要なのか、どのようなビジュアルコンテンツが消費者を魅了しているのか、そして最終的に何が消費者の意思決定を導くのかを明らかにしています。26カ国の1万人以上を対象に13カ国語で行った調査を子細に見ることで、ゲッティイメージズは日本の消費者とグローバルの消費者との間にある類似点と相違点を発見しました。まず、ゲッティイメージズとiStockの独自データと外部のビジュアル分析を組み合わせることで、態度や行動など、意思決定に影響を及ぼすいくつかの要因が存在することが判明しました。この要因のことを、ゲッティイメージズでは“フォース”と呼んでいます。フォースは人々の行動に強い影響を及ぼすほか、市場で重要なことを理解するために役立つものです。フォースには、ウェルネス、リアリティ、テクノロジー、サステナビリティがあります。
今回の調査により、日本人はよりビジュアルや色に強く影響を受けるということがわかりました。日本人の91%が「百聞は一見に如かず」に賛成しています。(グローバルでの賛成は80%) また、87%が「特定の色によって気分が変わる」と答えています。(グローバルでは66%)

ウェルネス
自身が重視している主なものについて日本の消費者にたずねたところ、ウェルネスが1位となりました。これはグローバルで同じ傾向にあります。ウェルネスとは、ビジュアルで表現されやすい身体的な健康だけではありません。感情や心、精神、さらには家族や人間関係の健全さも含まれます。日本の消費者は、精神と身体の健康をそれぞれ82%、81%と同等に重視しているほか、自分自身の健康よりも「家族の健康と幸福」をより重視しています。これは世界的に同様の結果が出ています。ウェルネスとは、自分の内面により意識的/意図的になることであり、自分の調子に応じてライフスタイルと余暇の過ごし方を調整することでもあります。興味深いことに、コロナパンデミック以後、日本の消費者が“Mindfulness(マインドフルネス)”」と検索した数は342%増、“Meditation(瞑想)”は206%増となっています。私たちの調査でも、マインドフルネスへの関心が年齢とともに増加していることもわかっており、50歳以上の人たちは需要なターゲットです。これは、ブランドにとって重要なポイントです。なぜならこれまでは、ウェルネスをビジュアル化する際、若い世代ばかりが描かれていたからです。
日本の消費者は、自分自身の健康よりも「家族の健康と幸福」を重視しています。これは世界的に同様の結果が出ています。
テクノロジー
テクノロジーのない生活を想像することは困難です。現在の状況では、とくにそうではないでしょうか。テクノロジーはインスピレーションの源であると同時に、日本のみならず世界中で大きな影響を与えうるものとなりました。多くの消費者が望む利便性をテクノロジーはもたらしてくれますが、個人情報やサイバーセキュリティに対する懸念もあります。日本の消費者の48%は「モバイル端末を持っていることで大切な人とのつながりを感じることができる」と答えている一方で、80%が「自分の国で大規模なサイバー攻撃が起こる」と考えています。日本が世界と異なるのは、テクノロジーの未来とその可能性についてです。日本の消費者のわずか29%が「AIは私を不安にさせる」と答えたのに対し、グローバルでは43%がそのように答えています。

リアリティ
リアリティやありのままに表現することが、メディアやアートにとどまらず、ビジネスの世界でも話題になっています。リアリティに関して、消費者はブランドに透明性を求めていることがわかっており、日本の消費者の3分の2が、「製造過程の舞台裏を知りたい」と考えています。また、人々は自分自身や自分の周りを代弁するビジュアルを求めています。
調査対象となった日本の消費者の55%が「企業はあらゆる体型や種類の人を起用する必要がある」と答え、50%が「購入元の企業があらゆる種類の多様性を取り入れていることが大切だ」と考えています。これは全世界のデータに比べてわずかに低い数値ですが、日本でも重要度が高まっていることがわかりました。ゲッティイメージズサイトのデータでも“diversity(ダイバーシティ)”の検索数は、コロナ禍の間、日本で438%増加しています。
サステナビリティ
私たちの調査では、全世代、全性別、全地域でサステナビリティが重視されていることがわかりました。しかし、その根底には、態度と行動が異なるという難題があります。グローバルでは、調査対象者の81%が自分のことを環境に優しいと考えています。しかし、調査対象者の48%は、もっと何かをするべきだとわかっていながら、利便性が優先されていると答えています。日本では、79%の人が、地球に対する現在の行動が将来に大きな影響を与えると考え、75%が大気汚染を心配し、72%が海洋汚染を心配しています。しかし、自分のことを環境に優しいと考えているのは48%に過ぎず、環境に優しくあろうとしているブランドの製品を買うのはわずか23%です。弊社の過去25年間のビジュアル調査では、経済の成長とともに環境への関心が高まるという傾向が見られました。逆に、経済が低迷すると、環境への関心は低下します。しかし興味深いことに、コロナ禍は、景気が低迷しているにも関わらずサステナビリティへの関心は高まっています。私たちの健康と環境への関心が、リンクしているようです。日本での過去3ヶ月間の検索では、“sustainability(サステナビリティ)”が400%、“nature(自然)”が166%増加しています。

調査結果の詳細については、このサイトのVisual GPSページをご覧ください。
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