日本における男性像をポジティブに表現する

トレンド / リアリティ
Yagi Studio
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Yuri Endo
7月 1, 2021
男性像のビジュアル表現は、個々のアイデンティティだけでなく、その国の文化背景に基づいています。さらに日本では、職場のライフスタイルや慣例が伴います。過去12か月間でゲッティイメージズの売上上位になったビジュアルを見てみると、日本の男性をビジュアル表現した第1位は、引き続きビジネスでした。また、男性は家族の一員やレジャーを楽しむ姿ではなく、ビジネスで懸命に働く姿を表現されることが女性よりも25%も高かったのです。メディアや広告の中では、このような古いタイプの男性像が多く、違和感を覚える消費者が増えています。Visual GPSの調査によると64%の日本人男性が自分に共感が持てるようなビジュアルが反映されていないと感じており、世界平均の52%よりもはるかに高くなっています。

コロナ禍の不安定な1年を経て、日本の男性消費者の約半数が、自らのライフスタイルや優先事項を見直しています。日本の企業風土は今も柔軟性という考え方に苦慮しており、従業員は休暇が取りづらい状況が多くあります。昇進制度には年功序列が強く影響し、一般的に社員は業績ではなく職場で過ごした時間で評価されるため、時間外労働の多さも目立ちます。同僚や上司からのプレッシャーにより、社員は遅くまで業務を続けます。昇進の妨げになったり、チームプレーヤーではないと指摘されたりすることを恐れ、なかなか職場から帰ろうとしません。
長期にわたるコロナ禍の新しい環境を経て、日本の男性消費者の約半数が、自らのライフスタイルや優先事項を見直しています。
先述した職場での行動は、残念ながら男性の家庭生活にも影響を及ぼします。また、男性は家族の稼ぎ頭であるという考えと相まって、ほとんどの企業や家庭で育休が考慮されることはありません。事実上、日本の出産休暇制度は世界でもトップクラスに充実しています’が、実際には6%しか利用されていません。これは、職場に深く根付いた古い考え方が原因であり、社会的な進歩を遅らせています。一方で、男性の育休をより柔軟にするための法案’が衆議院で可決され、前向きな動向も見られます。

Visual GPSのデータによると、日本の男性の約50%が偏見にあっているとされていますが、男性と女性では受けている差別が異なります。男性が特に差別を受けていると感じやすいのは、体格、体型、年齢、人種、民族によるものです。また、Visual GPSの調査では、日本の男女は暗黙の固定観念(男らしい男性、女らしい女性など)に悩まされていることが明らかになりました。そのため、ビジネスやライフスタイルなど場面を問わず、無意識のうちに固定観念にとらわれて男性像を決めていないか、常に自分自身を問いかけることが重要です。例えば、セルフケアは女性が行うものと考えられてきましたが、男性のセルフケアも女性と大差ありません。
ではこれから先、どうしたらこのコミュニティの人々を適切かつインクルーシブに表現することができるのでしょうか? 男性の幅広い表情や行動に敬意を払うこと、そして彼らが如何に思いやりを持って自分自身や他人に対して育む気持ちがあるかを示すことが重要です。

日本の男性のビジュアル素材を起用する際は以下の点をセルフチェックしてみてください。
男性の家庭での様子を表現していますか? 仕事をしながら子供の世話をしたり、家事を分担したりなど、家庭内の活動を男性が担っていますか?
男性像を前向きに表現していますか?
男性の仕事や遊びの瞬間をとらえていますか?
一般的な体形やスタイルで熟年層の男性を表現していますか? 
他の人と協力して作業する男性の様子を表現していますか?
ビジネスシーンでは、様々なタイプの人たちと偏りなく一緒に仕事をしている男性を表現していますか?
自分を大切にしている男性の様子を表現していますか?
Visual GPS:日本の消費者