日本における障がいを持つ人たちのエンパワーメント

トレンド / リアリティ
Trevor Williams
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Yuri Endo
7月 7, 2021
障がいを持つ人たちのコミュニティは、世界で最も大きなグループの一つです。多種多様な人々が何らかの障がいと共に生活していますが、彼らがメディアの中で目立つことはあまりありません。厚生労働省の調査によると、日本の障がい者数は936万人です。このことから、日本の人口の7.4%が何らかの障がいを持って生活していることになります。また、知的障がい者の人口は、身体障がい者の約2倍であるとも報告されています。

ゲッティイメージズのVisual GPS調査では、日本の消費者の76%が、企業やブランドは社会に対してよい印象を与えられるように、問題への取り組みや活動の支援に関わるべきだと考えていることが分かりました。一方で、ゲッティイメージズのビジュアル利用データでは、2020年に日本向けにダウンロードされた素材のうち、障がいを持つ人々が含まれているものは1%以下でした。我々は、業界として最大限の努力をしているにも関わらず、障がい者に関するストーリーの大部分を見落としているのです。
日本の消費者の76%は、企業やブランドはソーシャルグッドを生むような問題への取り組みや活動の支援に関わるべきだと考えています。
ブランドやメディアは今も尚、キャスティングの中でダイバーシティとインクルージョンを表現する際、障がいを持つ人々の存在をほとんど考慮に入れていません。キャスティングしたとしても、このコミュニティのビジュアル表現は思うようにシームレスにはいきません。ある角度から見るとポジティブな行動であっても、別の角度から見るとネガティブな行動になってしまうことがあります。オーストラリア出身のコメディアンであり障がい者の権利を訴える活動家である、故ステラ・ヤングは、障がいを持つ人たちの描写を“障がいを持たない人たちに感動を与える”、“感動ポルノ”と呼び、障がい者が克服しなければならないのは自身の身体や病気ではなく、彼らを差別し、モノとして扱う社会であると指摘しました。同様に、NHK教育テレビの番組““バリバラ〜障害者情報バラエティー〜”でも、2016年に“障がい者の感動的な番組”をどう思うかというアンケートを実施しています。障がい者の90%が、そうした番組に不快感を示すと回答したのに対し、健常者の45%が感動すると回答しました。障がいを持つ人たちは、持たない人たちを感動させるための特別な存在としてではなく、日常的な存在として、ビジュアル化される事を望んでいることがわかります。
ではこれから先、どうしたらこのコミュニティの人々を適切かつインクルーシブに表現することができるのでしょうか? バリバラの放送や映画37セカンズに見られるように、障がいを持つ人々はそれぞれ複数のアイデンティティを持っているにも関わらず、社会には「こうあるべき」という規範が存在することから、「生きづらさ」を抱えさせられています。したがって、民族、階級、年齢、性的指向、性自認、そして文化を超えた表現すべてについて考えることが重要だと言えます。また、東海テレビによるキャンペーン 見えない障害と生きる。が反響を呼んだように、これまで取り上げられることのなかったすべての人たちにまつわるストーリーを紹介することは、このコミュニティを理解し、受け入れ、積極的に関わっていく、よりインクルーシブな社会を築くための一歩と言えます。無意識のうちにステレオタイプなビジュアル表現に賛同していないか、常に自分自身に問いかける事が重要です。あらゆる種類の固定観念を打ち破りそれを組み合わせることで、より公正でインクルーシブなビジュアル表現を実現することができると言えます。

障がいを持つ人たちのビジュアルを選ぶ際は、以下を自分自身に問いかけてみてください。
  • その人の障がい以上のものを表現していますか?
  • 障がいを「克服する」必要があるものとしてではなく、その人のアイデンティティの一部として表現していますか?
  • 障がいを持つ人の、あらゆる人生経験や人間関係を描いていますか? 
  • 認知障がいや、目に見えない障がいを持つ人を取り上げていますか? 
  • 彼らの人物像を、様々な角度から表現していますか? 
  • 義肢やその他の補装具など、その人の障がいのみにフォーカスしていませんか?
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