日本における女性描写

トレンド / リアリティ
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Yuri Endo
7月 1, 2021
世界的にジェンダーの平等が強く求められる中、ブランドの多くは今も、日本の女性たちにまつわるストーリーをありのままに伝えるのに苦戦しています。特にリーダー職に就いている女性を表現することが難しいようです。Visual GPSの調査によると、日本の女性の65%は、メディアや広告において、自分自身を投影したような親近感のわくビジュアル表現がされていないと感じているようです。これは、世界平均の54%よりも高い数値です。更に日本の女性の50%以上が、年齢、体型、ライフスタイルの選択において不公平な扱いを受けたことがあると回答しました。

東京オリンピック組織委員会の会長が性差別発言で辞任したり、女性国会議員が女性への暴力に疑念を投げかけたり、自民党が女性議員を主要会議へ招きながら発言を認めなかったり、女性である男女共同参画担当大臣が選択的夫婦別姓制度の導入に反対したり、得点の操作異なる合格基準によって女性受験者に不利な入学試験を行うなど、女性蔑視的な言動がニュースの見出しを飾ることの多いこの国では、このような苦戦は当然と言えます。
日本の女性の65%は、メディアや広告において、自分自身を投影したような親近感のわくビジュアル表現がされていないと感じており、これは世界平均の54%よりも高い数値です。
2021年度版世界ジェンダーギャップ報告書では、日本のジェンダーギャップは先進国の中で最下位でした。また、エコノミスト誌が最近発表した女性の働きやすさランキングで、日本はワースト2位でした。民間企業においては、日本の女性管理職は全体のわずか15%で、世界平均の23%を大きく下回っています。そして政界では、衆議院で女性の占める割合がたったの9.9%となっており、政府のジェンダーの平等参画という点で日本は193カ国中166位にランク付けされました。

ゲッティイメージズの過去12ヶ月で最もよく売れたビジュアルを見ると、日本のブランドや企業は、男性のイメージよりも女性のイメージを約2倍多く使用していることが判明しました。しかし、起用されたビジュアルの中で女性は家庭などのライフスタイル関連の場面で描かれることが多く、ビジネスの場面となると、管理職として描かれるのは男性の方が女性の2倍近いことも分かりました。こうしたビジュアルにおける偏りは、日本での日常生活における偏見とつながっています。Visual GPSのデータによると、日本の女性は男性と比べて1.3倍多く家庭の中での様子をビジュアル表現されています。政府による最新の全国調査でも明らかとなったように、母親は父親の3.6倍多く家事をしています。
これらの調査結果をふまえて、よりインクルーシブに女性を表現するために、どのように取り組めばよいのでしょう? ビジュアルで女性の自己肯定感を高め、リーダーとしての女性の成長をサポートするには、どうすればよいのでしょうか? 重要なのは、多様なライフスタイルのあり方を尊重し、様々なアイデンティティを持つ女性を含め、“ジェンダーの平等”のより包括的なビジュアル表現を提示することです。

ビジネスとライフスタイル、どちらの文脈においても、無意識のうちにステレオタイプ的な女性像を選んでいないか、常に自分自身に問いかけることが重要です。日本の女性のビジュアルを選ぶ時は、以下の点をセルフチェックしてみましょう。
  • リーダーといった、意思決定する立場として女性を描いていますか?
  • 見た目やスタイルなどの外見で大人の女性を描いていますか?
  • 女性のスキルに焦点を当てていますか?
  • 母親としての様子や、家庭での描写を超え、女性を個人として、多角的な表情をとらえて表現していますか?
Visual GPS:日本の消費者