個別の一体感

トレンド / リアリティ
Willie B. Thomas
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Maxine Ihezie
10月 24, 2019
個人としての消費者と集団の一部としての消費者という両方の立場をちょうどいいバランスで表現することは、ブランドが顧客を引き付ける上で重要かつ難しい課題です。このバランスをビジュアルコミュニケーションで実現しようとするブランドの姿勢は、“belonging(帰属)”という検索キーワードの利用増加に表れていると言えるでしょう。2018年、ゲッティイメージズでこのキーワードを使って検索したユーザー数は急増しており、前年比で3400%の増加となっています。さらに、一緒に検索されているキーワードからうかがえるのは、帰属感が大きなものの一部だという感覚に結びついていることです。例えば、“community(コミュニティ)”が130%増、“connection(つながり)”が165%増、“inclusion(インクルージョン)”が175%増となっています。
個人を表現するアプローチでも、トレンドに変化が起きています。2018年の金融サービスセクターで特にダウンロードされたビジュアル素材を見ると、充足感、楽観的思考、自信といった個人の感情を表す内容が増えています。この傾向は、ほかの業種でも見受けられます。SNSでの各企業の投稿をAIで分析するCortexが実施した調査でも、そのことが裏付けられています。

Cortexは、SNSの画像の有効性を業界の平均的なエンゲージメントと比較して調査できるプラットフォームです。教師なし機械学習を採用することで、客観的に比較することを実現しています。たとえば、SNSで個人が発信することの有効性は、2018年に22%減少しているとわかりました。Cortexは、金融機関について、権力のある幹部職の画像や映像では価値を伝えられなくなっているとの調査結果を出しています。人々は、そうしたビジュアルに関心を示さなくなっているのです。今後、一個人として扱われたいと同時に、大きなものの一部でもありたいと思っている状況がますます顕著になっていくでしょう。この状況をゲッティイメージズでは、“個別の一体感”と呼んでいます。
ヒトのぬくもり