日本におけるテクノロジーの可視化

トレンド / テクノロジー
visualspace
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Yuri Endo
3月 11, 2021
東京2020オリンピックが近づく中、日本ではテクノロジーの発展と社会への適用が進んでいます。しかし私たちの働き方や生き方、人との関わり方に最も大きなインパクトを与えたのは、新型コロナウイルスでした。
以下の3つのポイントで、現在のそしてこれからのテクノロジーが日本での日常生活の中でいかに存在感を増し、より多くの人たちへ世界規模でのチャンスを与えているかを紹介します。
デジタルトランスフォーメーション 
テクノロジーに精通したイメージを持つ日本社会ですが、パンデミックはデジタル領域における日本の脆弱さを浮き彫りにしました。パンデミック以前、日本ではオンラインで完結できる行政手続きが全体のたった8%でした。キャッシュレス決済の普及率は約20%で、96%超の韓国や66%の中国には遠く及びません。しかし、必要は発明の母とはよく言ったもので、日本ではパンデミックが変化の機会となりました。5Gの導入が進むにつれ、デジタルトランスフォーメーションは日本の日常生活の中により溶け込んでいくでしょう。そして、それによる可能性の全てを可視化することが求められています。

パンデミック以前からゲッティイメージズは日本のテクノロジー企業のニーズに応えてきました。そして最近我々が実施したVisual GPSの調査では、日本の消費者はテクノロジーとそれがもたらす利益をとても肯定的に受け入れていることが分かりました。67%が目標達成のためにテクノロジーを活用し、5人中2人が製品やサービスを購入する前に実際の体験談を知りたいと回答しています。パンデミック以降は、多くの新しいテクノロジーが幅広い世代で活用されています。全世代でテクノロジー導入を促すようなあらゆるシーンのリアルなデジタルヒューマンエクスペリエンスを可視化することが重要となっています。例えばテクノロジーを取り入れた新しい生活様式や、各世代のテクノロジーとの関わり方、そして個々の日常生活でのリアルな体験を示すことで、より共感を得られるでしょう。
テクノロジーとチームワーク 
ESI ThoughtLabの研究によると、企業によるAIの導入に関しては日本はトップクラスであることが分かりました。AI導入の推進力となっているのが、テクノロジーを駆使した“超スマート”社会の実現を目指す日本の取り組み、Society 5.0です。インフラ、金融、医療、そして物流のデジタル化は、高齢化社会における生産性の維持を支えます。したがって、AIとテクノロジーもまた私たちの日常生活において極めて重要な役割を果たしており、それら全てを可視化することはとても大切です。

Visual GPSのデータによると、日本の消費者は新しいテクノロジーがもたらすメリットを非常によく理解しており 、日本の消費者は世界の消費者に比べると、AIに対する恐怖心が著しく低く、AIから不安感を覚えると答えたのは、世界の消費者の43%に対し、日本はわずか29%でした。また、ESI Thought Labの調査によると、日本の企業や労働者は、AIが人間の仕事を奪うのではなく、作業効率を上げるためのものとしてより好意的に捉えているとも指摘しています。しかしながら、テクノロジーに対してポジティブな考え方を持つ反面、日本の消費者の 79% が、自国は大規模なデータ セキュリティ侵害やサイバー攻撃に直面している、と回答するように、ネガティブな思いも抱いています。そのため、テクノロジーに関する表現をする際は、透明性と信頼を前面に出す必要があります。こうした需要の高まりを端的に表すために、私たちは人間とテクノロジーのコラボレーションを、現実、あるいは現実に似た環境で示す必要があるのです。信頼を得るためには、既に存在するものであれ、開発中であれ、あるいは想像上のものであっても、テクノロジーはあらゆる人が親しみやすく、そのメリットを想像しやすい形で可視化されなければなりません。スマートシティ、顔認証や指紋認証など目に見えない技術を表現する際、テクノロジーの未来的な側面を強調することで、テクノロジーが私たちの生活にもたらす可能性を示すこともまた、効果的です。
テクノロジーにおける平等性 
ダイバーシティとインクルージョンは日本の大企業にとって重要であるだけではなく、あらゆる世代の日本の消費者からの注目を集める話題でもあります。日本社会が今どれほど多様であるかを可視化することは、ますます重要になってきています。日本ではますます多くの映画ドキュメンタリー企業、そしてコミュニティが、平等とインクルージョンを提唱しています。こうした提唱は、ひとりひとりがより多様でインクルーシブな社会に変える能力と責任があると促すことにもつながっています。

Visual GPSのデータでは、日本の消費者の65%が、自分が共感できる人がメディアや広告で表現されていないと考えていることがわかりました。日本の消費者が、インクルーシブなストーリーを求めていることは明らかであり、75%の人が広告の登場人物の民族、バックグラウンド、容姿の多様性を見せるだけでは不十分だと回答しています。また、77%の人が、ジェンダーは2つ以上あることを受け入れるべきだと答えています。企業が正しいことをするという道徳的責任に加え、日本の消費者は人々のリアルなライフスタイルやカルチャーが、広告やコミュニケーションに反映されることを望んでいます。こうした需要の高まりを表現するために、人々がテクノロジーと関わることで、楽しみ、人生の節目を祝い、愛する人と時を過ごし、健康を保ち、精神的にも充実したライフスタイルを実践しているリアルな体験を提示しましょう。そしてテクノロジーの有無に関わらず、ビジュアルはリアリティを感じさせ、共感を呼び、信頼を生み、そして私たちの身近な人々を表現するものであるべきです。イメージアップのためだけにマイノリティのコミュニティの人たちを参加させる、名ばかりの多様性ではなく、私たちは本当の意味でのインクルージョンに取り組む必要があります。異なるバックグラウンドと経歴を理解し、尊重し、他人がそうあるべきだと思う姿でなく、個々のあるがままの魅力を映し出すことで、固定概念を打破していきましょう。
日本のデジタルアジリティ