日本のサステナビリティを再定義

トレンド / サステナビリティ
JGalione
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Yuri Endo
9月 2, 2021
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新の報告によると、人類が地球を温暖化しており、二酸化炭素やその他の温室効果ガスの排出が今後数十年で大幅に減少しない限り、21世紀中に世界の平均気温が1.5~2°C以上上昇するであろうことは間違いありません。アントニオ・グテーレス国連事務総長は科学者らの研究結果に同調し、どの国も対策を遅らせたり、言い訳をしたりする余裕などないと述べました。特に、人口あたりのプラスチック廃棄物量世界第2位であり、気候変動の影響を最も受けている国々の一国である日本にとって、来春施行のプラスチックごみ削減に関する新法はあまりに甘い一方で、多くの消費者は、よりサステナブルな暮らしをしようと個人レベルで取り組んでいます。

パンデミック発生前に当社が実施したVisual GPS調査によると、日本の消費者の多くは、私たちによる地球の扱い方が私たちの未来に大きな影響を及ぼすと信じていたものの、環境的に持続可能なライフスタイルを導く具体的な方法をリサイクル以外に見つけることができなかったことが分かりました。しかし、パンデミック発生に実施した調査によると、現在、ほとんどの消費者が政府の環境対策に疑問を投げかけ、リサイクル習慣を再考し、二酸化炭素排出量の削減に個人的な努力をしていることが明らかになりました。
日本の消費者の72%は、企業は自社の広告やコミュニケーションのすべてにおいて環境を考慮すべきだと考えています。
日本の消費者の72%は、製品やサービスが環境に直接関係していなくても、企業は自社のすべての広告やコミュニケーションにおいて環境を考慮するべきだと答えています。これは、人々が個人の生活だけでなく、企業やブランドにも持続可能な姿勢を求めていることをはっきりと示しています。さらに、企業が人権を尊重し、サプライチェーンのあらゆる段階での労働慣行が適切であるかどうかも重視しています。また、一部の消費者は、購入に関する意思決定を行う際に、総合的なサステナブルアプローチをとる企業にお金を費やす可能性は4倍高いと回答しています。そのため、持続可能性を的確に取り入れたビジュアルは、消費者がより良い未来のために行動を起こすことに大きな影響を与えます。
 
しかし、多くの日本企業やブランドがサステナビリティを示すために現在使用しているビジュアルは、持続可能なライフスタイルや取り組みを正確に捉えてはいません。たとえば、2020年には、植物を包み込む手、煙突から出る煙、ホッキョクグマなど、ゲッティイメージズの最も人気の高いイメージが多数登場しました。これらのビジュアルは、環境問題と関連づけられていますが、行動のきっかけとしてではなく人間とは関係のない抽象的なイメージとして投影され、それが持つインパクトが失われてしまうほど乱用されています。
では、私たちが集団としてもっと環境と社会的責任を果たすために、これらの観察事項についてどのように取り組み始めるべきでしょうか? 偽のニュースやコンテンツがはびこる中、私たち消費者は、毎日目にするビジュアルに無意識のうちに影響され、環境保護をうたう偽情報(グリーンウォッシュ)に惑わされてしまう可能性があります。地球環境の更なる悪化を防止するためには、持続可能な消費と倫理的な暮らしの意味をビジュアルで理解することが大切です。企業やブランドにとって、コミュニケーションにおいて、誠実なメッセージを企業のグリーンウォッシュと区別することが重要です。

持続可能なライフスタイルと取り組みに関連するビジュアルを選ぶ際、自分自身に問うべきこと:

サステナビリティを促進する、馴染みのある取り組みをビジュアル化しているか?
若者からお年寄りまで、使い捨て用の製品ではなく、再利用可能なバッグやボトルなどの環境に優しい製品を使用しているか? 消費者として、私たちがサステナビリティに関して特に注目するのは、そのような細かい情報です。こうした小さな努力の積み重ねが、地球環境の保護に大きく貢献しています。なぜなら、日本は、優れたカスタマーサービスという名のもとで使い捨ての容器や包装を必要としない社会システムの構築をさらに進めなければならないからです。

環境に変化をもたらすソリューションをビジュアル化しているか?
日本では、生活必需品の買い物にバッグや容器を持参できる店や、量り売り店がようやく増え始めています。合成肉、自給自足、再生エネルギーを活用した環境に配慮した住宅、電力や水資源を節約する生活スタイルの選択の開発が持つ力は消費者に実際に理解されており、行動の喚起につながる可能性があります。廃棄物ゼロの町(JGalioneが撮影した上部の写真の1つ)など、消費を減らすための団結した取り組みを表すイニシアチブを紹介します。

持続可能な社会の実現に向けて、最新技術をビジュアル化しているか?
例えば、Eヘルスは患者をサポートすると同時に、医療従事者の負担を軽減し、温室効果ガスの排出を削減すると言われています。また、排出ゼロでの新しいの進歩や、太陽光発電、風力発電、電気自動車、カーボンニュートラルソリューションなどのイノベーションが実際の暮らしにどのように組み入れられるかをビジュアル化することも重要です。そうすることで、誰もがそれらをどのように利用し、役立てられるかを簡単に思い描くことができます。
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