循環する高級ファッション

トレンド / サステナビリティ
CR Shelare
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Sandra Michalska
8月 19, 2021
高級ファッションの次なるビジュアル表現の領域は、循環型文化をブランディングに取り入れることです。廃棄物を減らし、資源をより効率的に利用して循環型ビジネスモデルを拡大することは、KeringLVMHのようなラグジュアリーファッショブランドの多くで重要な要因になっています。環境と社会に配慮した企業運営(ESG)を向上させるために、バイオマテリアル(生体材料)を先駆的に推し進めたStella McCartneyや、サプライチェーンの透明性を高めたGucci着用しなくなった商品を店頭で使えるポイントに交換できるようにしたAlexander McQueenなどのブランドもあります

様々な取り組みが行われていますが、ファッション業界は歴史的に採取型のビジネスモデルに依存しており、より環境的/社会的に責任のある方法で事業を行うという目標にはまだ達していません。こうしたことから、ファッションブランドは意識的な消費者からの賛同を得られていない可能性があり、10人に6人は、ブランドの広告やコミュニケーションで環境に配慮していないイメージを見ると嫌悪感を抱くようです。高級品には欠かせない“憧れ”の指標として、環境に配慮していることは、今やすてきなものから必須のものへと移行しています。ラグジュアリーファッションにとって重要なのは、循環型経済への軌道修正を続けながら、欲求を刺激するストーリーをビジュアルで生み出すことです。そのために、多くのブランドは将来の目標を示すことに重点を置いていますが、持続可能性を発信するブランドのコミュニケーションには、はるかに複雑な期待が寄せられています。
ロイヤリティを高める循環型文化の構築
ゲッティイメージズが継続的に行っているVisual GPSの調査では、世代によって要求が異なることがわかっています。高級ブランドの伝統的な顧客層(ベビーブーマーとX世代)が重視するのは、主に、製品の性能と製造過程の持続可能性ですが、若い世代は、消費の副作用、特に二酸化炭素排出量の削減に関して、より総合的な見方をしています。世代を問わず、最もインパクトがあるのは、日々の生活に及ぼす環境問題の直接的な影響と、動物や自然に及ぼす人間の直接的な影響を表現したビジュアルです。

ターゲット層との関係を維持するために、高級ファッションブランドは全面的かつ包括的に、そして透明性をもってサステナビリティに取り組む責任があります。それを実現するには、ブランドが循環型に向けて体制を変更することでもたらされる可能性を活かすことです。ただし、それが効果的なのは、企業文化の変化と一緒に行われる場合です。高級ブランドには、文化的な影響力があります。持続可能な素材の調達や、循環型のデザインとイノベーション、そして新しいサービスなど、ファッションビジネスのあらゆる場面でサステナビリティに従事していることをビジュアルで示すことによって、循環型文化をブランディングに取り入れる力があるといえるでしょう。そうすることで、消費者の信頼や愛着を築きやすくなります。これは、10人に8人の消費者が、自分の価値観に運営をしているブランドに愛着を感じる可能性が高いと言われているためです
実用的なチェックポイント
ビジネスのあらゆる側面に循環型の考え方を取り入れて、一方向だけのやり方を打破する様子を消費者にビジュアルで示しましょう。世界の消費者の10人に6人は、環境に配慮したブランドの製品しか購入しないと答えています。そうした人たちに対して、ブランドの体制の中で起こっている循環型文化に向けての変化を発信しましょう。ゲッティイメージズでは、そのために役立つビジュアルを幅広く提供しています。

  • 素材の調達で環境に配慮している様子や、自然に還元している様子を示しましょう。エキゾチックな毛皮、象牙のアクセント、動物の皮を使ったアクセサリーなど、生物多様性の喪失は高級ファッションのダークサイドとして長らく語られてきました。その変化に取り組み、透明性を保ち、サステナビリティを意識した業務の様子を打ち出しましょう。例としては、オーガニックコットン農場から調達している様子、生物多様性を再生している様子、アップサイクルの様子などです。
  • 意図的にサステナビリティを重視しましょう。刺繍や持続可能な染色技術など、伝統的な慣習を保全して紹介するといいでしょう。従業員の福利厚生を考慮して職人性を大切にしている様子を示すことも大切です。ゲッティイメージズのVisual GPSでは、従業員に対して不誠実で不公正な対応をする企業を支持しないと、10人中8人が答えています。
  • 高品位な循環型サービスでイノベーションを起こしましょう。高級ファッションは、単に優れた製品を作るだけでなく、体験や革新的なプレミアムサービスを提供する必要があります。台頭しつつあるトレンドに踏まえたサービスを検討してみてはどうでしょうか? リペア(修理)、リユース(再利用)、リターン(返却)、レンタル(貸し出し)は、世界の消費者の10人に4人が実践しています。
  • 多様な人たちを起用することを何よりも意識しましょう。サステナビリティは世界中の人々に関わる重要なテーマです。そんなサステナビリティをビジュアルで表現するときには、あらゆる層の人々を起用することが大切です。画一的ではない見方でアイデンティティや年齢をとらえて、あらゆる人をサポートすることも忘れないでください。
環境への配慮というイメージを考え直す