写真家 Sze Kiat

スポットライト / 注目クリエイター
Koh Sze Kiat
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Gosling Gao
1月 18, 2022
Sze Kiat Kohは、iStockの重要な専属スタッフであり、シンガポールでアンバサダーとして、コンテンツ作成だけでなく、現地のコントリビューター コミュニティの管理も行っています。独学で商業写真家となった彼は、シンガポールでの生活の一面を写すのが好きな2児の父親です。仕事とプライベート、そして生まれたばかりの赤ちゃんとの生活という多忙なスケジュールの中、時間を見つけて、彼の写真家としての歩み、実在の人物との撮影アプローチなど、さまざまなお話を伺いました。
Gosling Gao(以下GG):写真撮影を始めたときのことを教えてください。
Sze Kiat Koh(以下SKK):高校生の時に写真を始め、軍隊に入隊した際も続けていました。当時は、フィルムカメラをどこにでも持って行き、自分の周りで起こった全てのことを撮っていたのです。軍隊にいた際、その経験を記録できることに気づき、この高まる情熱に夢中になっていきました。その情熱が趣味に変わり、やがてフルタイムの仕事となったのです。2年後の2010年に軍隊を卒業し、それ以来、写真だけの仕事をしています。

GG: ストックコンテンツ制作の他に、クライアントとの仕事もありますね。2つの違う仕事内容を同時にするのはいかがですか?
SKK:私はこれまで、主に企業向けの写真撮影の仕事をしてきました。その際には、ポートレート、料理、インテリアなどを撮影していました。iStockに参加したのは2007年ですが、ゲッティイメージズ・シンガポールの元アンバサダーから紹介されて、専属として始めたのは2019年からです。ゲッティイメージズやiStockは、撮影するものを自由に選べて、バラエティに富んでいるところが気に入っています。

GG: 作品を知らない方たちに、3つの言葉でご自身の作風を表現するとしたらどうなりますか?
SKK: シンプル、クリーン、控えめという3つの言葉で表現できますね。
物事が自分の計画通りに進まないことを心得て、広い視野を持つよう取り組んでいます。瞬間ごとに違うアプローチができるように余裕を持ち、予想しない方向に進む可能性があることを理解しながら、撮影プランは、あくまで目安であると自分に言い聞かせています。
GG: ストックコンテンツは、ご自身のワークスタイルと真の美的感覚に完璧にフィットしています。どうやって実現できたのですか?
SKK: 柔軟な発想を心得るようにしています。多くの場合、基本的にゲッティイメージズからのニーズ、チームからのニーズを元に撮影しています。そこからコンセプトやアイデアを得て、仕事に取り組んでいます。計画や撮影リストに加え、自分が考えた通りにならない場合を想定し、心に余裕を持つようにしています。瞬間ごとに違うアプローチができるよう余裕を持ち、予想しない方向に進む可能性があることを理解しながら、撮影プランは、あくまで目安であると自分に言い聞かせています。
GG: 撮影時の照明は美しく、自然な仕上がりですね。照明がストーリーを語るのに一役買っています。照明に関して、秘訣があれば教えてください。
SKK: ストックイメージは、非常にクリーンなものから、より自然なショットや、本格的ドキュメンタリーなスタイルへと変化しています。なので、なるべく自然光を使うようにしています。撮影によっては照明を追加することもありますが、スタジオのような人工的な印象を与えないよう、ごく最小限にとどめています。ロケ地の照明状況をより理解するために、撮影前に会場に足を運んで確認します。周囲の照明、スポットライト、自然光の位置、撮影現場の窓の位置などを意識しています。お花屋さんと母親との自宅での撮影では、家の照明が影になりやや暗く、キッチンの窓から強い逆光が生じたため、照明を追加しています。より焦点を絞るために、2つのライトを追加することにしました。撮影現場では、念のため常に照明を持っています。
GG: 熱い想いを持ちつつもリアルな瞬間を切り取ることで、作品を際立たせていると思います。キャスティングは重要な役割を担ってるように感じられます。撮影には、モデルや実在の人物を起用されていますね。接点をどう作り、撮影に誘導しているのでしょうか?
SKK: 実在の人間を撮るのと、「モデル」を撮るのでは、確かに違いますね。実在の人物を撮影する場合は、撮影前に関係性を構築するように心がけています。オープンに接し、大まかな指示は出しますが、具体的に何をすべきかは細かく言わないようにしています。彼らとの撮影は、時にぎこちなくなる場合もあるので、実際の友だちに居てもらって撮影すると、よりリラックスできるようです。できるだけリアルな感情の変化を多く撮りたいので、特に交流の瞬間の際はすべてを流れに任せています。
GG: 自然な流れで撮影することで、よりリアルな写真が仕上がるのですね。その方法は、子どもの撮影の際にも有効なのでしょうか?
SKK: 自分の子どもが生まれる前は、クライアントからの依頼でたくさんの幼児を撮影していました。そして、子どもに対しては指示を出せば出すほど、彼らは混乱するのだと実感しました。ですから、いつも自由にさせて、あまり邪魔をしないようにしています。子どもたちの感情が高ぶると、撮影が雑になったり、難しくなったりしますが、そんな時こそ、休ませてあげたりしています。
その良い例が、最近撮影した3人の子どもがいる若い家族の写真です。子どもたちの両親は私と近しい友人で、お子さんの一人は聴覚に問題を抱えています。子どもたちは私のことをよく知っていますし、彼らの自宅での撮影でしたので、特に難聴の子にとっては、スムーズでリラックスした撮影経験となりまし。

GG: ストックイメージの撮影では、どのような機材が必要ですか?
SKK: Sony A7 RIIIとプライムレンズですね。昔は、ポートレートを撮影する際に85mmを使っていましたが、すべて背景がなくクローズアップされてしまいます。ストックイメージの撮影が多くなると、焦点距離を広げ、35mmや85mmを中心としたプライムレンズで撮影することが多くなりました。そこが一番落ち着き、被写体との距離感も絶妙なのを見出しました。

GG: ストックフォトの撮影で一番楽しいことは何ですか?
SKK: 私は撮影自体の経験と、そこまでの過程で出会う人々が大好きです。新しい友人ができたり、新しいネットワークが起きたりと、他ではありえないようなことが起こるんです。そして、他の人の人生に入り込み、彼らの体験に繋がる出入口の窓を作ることを楽しんでいるのです。
フォトグラファー:Klaus Vedfelt