フォトグラファー: Yixun Sun

スポットライト / 注目クリエイター
MirageC
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Richard Newstead
7月 23, 2019
楽しくてカラフル。簡潔でいてコンセプチュアル。ソン・イーシュン(Yixun Sun)の作品を見ていると、こうした言葉が思い浮かびます。‎構図と空間を把握する感覚を備えた彼の静物写真は見ていて楽しく、ゲッティイメージズのクリエイティブチームと利用者の間で高い人気を集めています。
リチャード・ニューステッド(Richard Newstead):これまでの経歴について少し教えてもらえますか?
ソン・イーシュン:青島の生まれで、今も青島に住んでいます。中国の海岸沿いにある町で、緑が多くきれいな地平線を見ることができます。2008年の夏に父親から大学の入学祝いで一眼レフカメラをもらいました。とてもうれしかったです。それまでは携帯電話でしか写真を撮っていませんでしたから。大学の専攻はIT関連で、在学中はカメラを持って街中をよく散策したり、写真をアップロードして友だちと共有したりしていました。

リ:どんなきっかけで、ゲッティイメージズに写真を提供するようになったのですか?
ソ: 以前は、たくさんの作品をFlickrでシェアしていました。8~9年前にFlickr経由でゲッティイメージズに写真を提供しないかという招待があったんですけど、すぐには引き受けませんでした。当時、僕と同じくらい写真好きの友達がいて、「おお! 世界トップクラスのフォトエージェンシーにお前の写真が選ばれてるよ!」ってみんなが言ってくれたことがありました。いい思い出ですね。それから数年で、街の景観を撮影してゲッティイメージズに載せることに夢中になっていました。でもある日、街の景観の撮影だと単なる記録にしかならないんじゃないかって思うようになったんです。それに、時間が経つにつれ、作品が均一にならざるを得ないですよね。心の中では、もっとおもしろくてクリエイティブなことをやりたいと思っていたので、題材として静物を使ってコンセプチュアルな写真をやることにしました。スタジオの照明や小道具を使って、自分で何でも調整していますよ。
リ: 制作する写真のアイデアはどのように得ているんでしょうか? とてもシンプルな写真なのに、発想がすごく面白いですよね。
ソ: 普段からSNSの情報や雑誌の定期購読で一般的なニュースはチェックしていて。たとえば、いろんな取引や業界の年次レポートを見れば、世間で盛り上がっていることや撮影トピックをたくさん知ることができますし、ファッション雑誌やアート雑誌を読めば、人気の色の傾向をつかめます。つまり、情報を収集してまとめているっていうことです。そうやって得た情報を頭の中で組み合わせて、撮影のアイデアにしていきます。おっしゃるとおり、僕の作品の多くはすごく簡潔です。特定のコンセプトをシンプルな方法で表現して、いろんな使い方ができるように柔軟性を写真に残しておきたいと思っているんです。最近だと、以前よりも要素を多めに加えて、もっと複雑なコンセプトを表現するようになりました。
リ:ソンさんの静物写真はすてきですよね。小道具も自分で作ったり、見つけてきたりしているんでしょうか?
ソ:僕の小道具は近所の雑貨屋や商店街、それにインターネットでそろえています。そのまま使えるものも多いですが、手を加える必要のあるものもあります。そういう場合は、レーザー裁断機とか基本的な手芸ツールみたいな工具を使っていますね。静物写真を撮影することで、写真以外のこともたくさん学んでいます。

リ:特に気に入っている写真はありますか?
ソ: 複数の花を組み換えたこの写真を気に入っています。最初は単に黒い背景で花を撮ろうとしていたんですが、花を撮影していくうちに、違う色や形の花と組み合わせたほうが良くなりそうだと思うようになって、Photoshopでいろんな形の花をレイヤーマスクで何枚も組み合わせて、新しい形の花にしていきました。そうやって試しているうちに、夢に出てくるような華やかなものになったんです。
リ: 色彩に対する感性がすばらしいですね。この感性は生まれながらのものなんでしょうか? それともアートやデザインの経験があるとか?
ソ: アートやデザインは専攻しませんでしたが、写真の勉強でアートやデザインの本をいくつか読んでいて、自分の色の捉え方はとても影響を受けています。静物写真を撮り始めたころは、自分の欲しい色を出すのに苦労しましたが、次第に簡単にできるようになりました。

リ: 気に入っているアプリを教えてください。
ソ: 僕のような個人のフォトグラファーには、Evernoteみたいなオンラインメモアプリが手放せません。思いついたアイデアをメモしたり、企画を練ったり、撮影リストを印刷したりっていう作業がひとつの場所でできるので、かなり効率的で便利です。

リ: では、好きなフォトグラファーを教えてください。
ソ: ジェス・ボナム(Jess Bonham)とミッチェル・フェインバーグ(Mitchell Feinberg)のふたりですね。
ジェス・ボナムの作品は遊び心と想像力に富んでいます。この人の撮影する抽象的な静物写真のなかには、とてもコンセプチュアルですばらしい発想のものがありますよ。ミッチェル・フェインバーグの作品はスタジオの照明使いと撮影後の編集処理が一流で、見ていて驚かされます。
フォトグラファー イヴリン・マルチネス(Evelyn Martinez)